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海外在住者が知っているとお得な年金情報

※下記文中にある年金受給のための資格要件(25年間)は平成29年8月に10年に短縮されています。

海外在住の日本人の方で以前日本で暮らしていた頃に加入していた国民年金や厚生年金、共済年金を既に受給されている方、または今後受給の予定の方はどれ位いらっしゃるでしょうか?最近になって海外居住された方は十分な知識をお持ちだと思いますが、日本から移住して大分時間が経過している方の中には、年金の存在を忘れてしまっている方、覚えているが面倒だし金額が少ないので何もしていない方、がいらっしゃるのではないでしょうか?

年金は将来の老後の生活のため、若くて働ける現役時代のうちに少しずつ自分のお金を積み立てていく法律に基づいた国の制度です。たとえ昔のことでも、また積み立てた金額が小さくても、年金保険料として支払った記録はしっかりと保管されており、必要な条件を満たし、必要な手続を踏めば必ず積み立てが額に見合った年金を受け取ることができます。

1. 各国の年金制度

現在世界中の多くの国で国が運営する社会保障(年金)制度があります。その国に住む居住者や一部の非居住者はその国の年金に加入する必要があります。

日本の年金制度では、個人事業主などが加入する国民年金、給与所得者(サラリーマン)が加入する厚生年金、公務員の方が加入する共済年金、そして一部の企業が適用している企業年金(厚生年金基金)などがあります。

図:日本の年金の種類
図:日本の年金の種類

そして老後日本の年金を受給するには、国民年金、厚生年金、共済年金に25年間加入し毎月の保険料を支払いつづけることが必要です。

25年間の加入が必要となると、特に若いうちに海外に移住された方はほとんどの方が対象外となるので、日本の年金の受給をあきらめざるを得ません。

2. 海外在住者が知っておくべきポイント

では海外在住者が知っているとお得な情報を2点ご紹介します。

1)居住国と日本の年金加入期間を通算できる

日本→米国、日本→米国→日本、といったように複数の国の年金制度に加入する場合の取り扱いはどうなるのでしょうか?

ここで例えば、Aさんという方がいて、日本で国民年金または厚生年金に8年間年金に加入し、その後脱退し米国に移住して20年間米国の年金に加入していたとします。日本での年金加入期間は8年間で将来年金を受給するのに必要な25年間に達していません。

ここで出てくるのが「社会保障協定」というものです。この社会保障協定とは、異なる2国間の年金制度に対し年金加入者の不利益とならないようにするための2国間での取り決めで、現在日本は米国をはじめ14カ国と締結しています。この社会保障協定では、両国で加入していたそれぞれの年金の加入期間を合算(合計)して取り扱うことができます。つまり上記のAさんの場合、日米の年金通算加入期間を28(8+20)年間として申請し、年金を受給することができます。

図:日米の年金加入期間は通算できる
図:日米の年金加入期間は通算できる
※社会保障協定締結国:
ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ  オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー

では次に知っておくと便利なもう一つの項目について紹介します。

2)日本の年金制度で海外在住者に適用される合算対象期間(カラ期間)

合算対象期間(カラ期間)とは、年金の保険料を払っていない期間も「受給資格期間」として受給資格に必要な加入期間に算入する制度です。上記1)のケースと異なり、居住国の年金に加入していなくても日本の年金加入期間としてカウントされます。この「カラ期間」は日本から海外へ移住した時点から適用されますが、日本国籍のままであること(外国籍を取得していないこと)が条件となります。

先ほどのAさんの例では日本で8年間国民年金または厚生年金に加入し、そしてその後米国に移住してからの期間が「カラ期間」として受給資格に必要な加入期間となります。Aさんがもし23歳から30歳の8年間日本の年金制度に加入し、その後米国へ移住して60歳を迎えたとすると、「カラ期間」が30年間となり、日本の老齢年金の受給に必要な25年間に達しているので、米国の年金制度加入の有無にかかわらず老齢年金を受給することができます。

図:米国移住後の期間もカラ期間として受給資格に反映される
図:米国移住後の期間もカラ期間として受給資格に反映される

このケースでは上記1)の様に社会保障協定締結国以外の国に居住されている方も対象となります。また必ずしも居住国の年金に加入している必要がないので、主婦の方も対象になります。

3. 昔払った年金の保険料について今一度調べて見よう

上記のように以前日本の国民年金、厚生年金に加入されていた方は、老齢年金の受給の可能性があります。サラリーマン(および公務員)だった方は、勤務先が厚生年金、共済年金の保険料を支払っていたため本人に年金加入の自覚がない場合が少なくありません。また仕事をしていなくても、両親が知らないうちに自分の国民年金保険料を支払っているケースもあるので、自分の年金情報について知らない方は一度調査されることをお勧めします。

4. 手続は

日本の年金の手続きは、日本年金機構(共済年金の場合は各共済組合)で行ないます。上記社会保障協定締結国では、その国の年金事務所で書類の受付は行ないますが、言葉の問題や処理時間が長いこともあってお勧めしません。

自分の年金記録について一度調べて見たい方、弊社にお気軽にお問い合わせください。